トップメッセージ
変わることへの勇気。
それがやがて、神鋼商事を変えていく。
代表取締役社長
髙下 拡展 HIRONOBU TAKASHITA
線の細い新人が
グローバル営業パーソンに。
今から30数年前。私は就活生として、神鋼商事の門を叩きました。自分の手で稼げるようになりたい。ビジネスを通じて自分自身を確立したい——そんな思いが、ここでなら実現する。そう思えたからです。当時の私は線が細くて、上司に「最初は心配だった」とあとになって打ち明けられたくらい。けれど数年と経たないうちに、営業としての専門性を磨いて海外駐在となり、グローバル・サプライチェーンに携わるようになっていました。ベテランの先輩たちが、丁寧に面倒を見てくれたこと。若手のうちから、貴重な経験の機会を惜しみなく与えてくれたこと。それがなくては、きっと叶わなかった成長だと思います。
新人の頃で思い出深いのは、入社2年目の出来事です。神戸製鋼所の銅製品を販売していた私は、とあるクライアントの購買担当者と意気投合。取引規模を「2倍にしよう」と盛り上がりました。とはいえ、先方の仕事は「いいものを安く買うこと」。私の仕事は「高く買ってもらうこと」。本来なら、利害が対立してもおかしくありません。けれど、「取引を2倍に」というベクトルを共有できたことから話は勢いづき、神戸製鋼所がバックアップに乗り出してくれたおかげもあって、ほんとうに契約倍増に至ったのです。
「ビジネスは、1人ではできない」。この経験は、私に改めてそう教えてくれました。私がどんなに売りたくても、買い手がいなければ、そして仕入れ先がなければ、ビジネスは成立しない。もちろん成功もしない。関係者の思いを重ね、ベクトルを一つにすることこそが大切なのだ、と。
同じことが、会社と社員にも言えるのではないでしょうか。経営者になった私には、会社を成長させる責任があります。同時に、社員一人ひとりを成長させることも最優先事項です。表裏一体ともいえるこの使命を果たすために、神鋼商事の誰もが共感できる「気持ちのベクトル」を打ち出すこと。みんなが同じ方角を目指すからこそ生まれる、強い推進力の源になること。これは、やがて神鋼商事に入社する方々への、私からの約束でもあります。

ものづくりのリアリティが、
ビジネスを鍛える。
神鋼商事には3つの強さがあります。1つ目は、事業領域の幅広さ。KOBELCOグループといえば鉄鋼のイメージが強いかもしれませんが、実は多くの事業と製品を擁しています。そのことが、神鋼商事の多彩なフィールドにそのまま直結しています。2つ目は、ものづくりに極めて近い商社であること。KOBELCOグループゆえに現場との結びつきが強く、さまざまな分野において専門性の高い提案を実行できる土壌があります。そして、3つ目は、グローバルにサプライチェーンを構築する力。KOBELCOグループのグローバル展開を牽引するために、神鋼商事は早くから世界に拠点を設け、サプライチェーンを開拓してきました。この力を発揮して、KOBELCOグループに関連するビジネスはもちろん、独自のビジネスを育てていくこと、そして、社会課題の解決に繋がる新規事業を推進すること、これらが神鋼商事の三本柱になると考えています。
特に「ものづくりの近さ」は、新しく入社する方にとっては大切な手がかりになるのではないでしょうか。専門商社のビジネスは、「人」と「もの」の両方に強い興味を持つことが欠かせないと私は思います。目の前の人が置かれている状況や関係性を考え抜き、うわべではなく寄り添うこと。製品に惹かれるうちに、自然と知識が増え、専門性が磨かれていくこと。けれど、担当したばかりの製品に「興味を持て」といきなり言われても難しいでしょう。そんな時はぜひ、現場に足を運んでみてください。ものづくりの現場を見て、商品に触れて、感じてください。パソコンで発注書をつくるだけでは届かない、ビジネスのリアルな感触。それがきっと、愛着になるはずです。
現場には、ほろ苦い思い出もあります。私はかつて、シンガポールに駐在していました。当時はアジア通貨危機のさなか。逆風をまともに受け、私たちのビジネスも苦しんでいました。その時に目の当たりにしたのが、つくるものがなく、設備の半分近くが止まった仕入先の現地工場です。現場の悲鳴を直に聞き、ビジネスを復活させなければという強い思いも掻き立てられました。現場が教えてくれるリアリティは、責任感やモチベーションの源泉にもなるのです。

時代が変わる時、
自分を変えられる力を。
社長になる直前まで、私は人事も担当していました。面接で学生のみなさんに会うたび、その優秀さに驚かされました。私が学生だった頃と比べて、人間そのものが進化している——そう思わずにはいられなかったほどです。デジタルネイティブとして生まれ、溢れる情報の中で様々な変化と相対してきたことが「進化」の一因かもしれません。
今も私たちは、大きな変化の中にいます。昨日まであったものが、突然なくなってもおかしくない。そんな時代にあって、自分自身がサスティナブルな場所を見出すこと——それが今の就職活動だといえるのかもしれません。
変化の時代に、サスティナブルでいる方法。それは、自分自身を変化させることにほかなりません。もちろん、簡単ではありません。豊かな感受性を持ち、知恵を絞って創意工夫を重ねなければならない。チームワークも大切になるでしょう。それでも臆することなく、変わろうとする意志を貫き、行動に移せること。そんな人材が、これからの神鋼商事にとってもますます重要になっていくのだろうと感じています。そう、神鋼商事という企業もまた、時代の変化に応えて変わっていかなければならないからです。その人の中にある、変わることへの勇気。それがやがて、神鋼商事を変えていく。そんなみなさんとの出会いを、心待ちにしています。
